U−B.判例調査の留意点
 
@「判例六法」(有斐閣) 「模範六法」(三省堂)

<検索法条、年月日、キーワード、事件名
<特色この2種は「判例付き六法」です。主要な法律の条文毎に対応する判例が指示されています。特に「判例六法」は総合事項索引や事件名索引など索引が充実しているので、判例調査の出発点として便利です。
<備考「模範六法」の方が多くの判例を収録していますが、事件名から検索することはできません。

A「判例マスター」(CD-ROM) (新日本法規)「リーガルベース」(CD-ROM)(ぎょうせい)

<検索法条、年月日、キーワード
<特色 CD-ROMの特色は、戦後全期間にわたる判例を一度に検索することができることと、複雑な条件の検索が可能なことです。例えば「昭和40年1月以降で、憲法第23条が争点となった最高裁判所の判例」と指定して一度に検索することもできます。ただし、刊行まで時間がかかるため、最近の判例は収録されていないことに注意が必要です。
<備考法律関係のCD-ROM(3種)は法学部のコンピュータ教室(J307)に設置しています。利用の際は、法学部事務室に申し込んでください。

<新入生の皆さん
 CD-ROMは最も便利な検索道具であり、これを使えば他の検索資料を使わずに済んでしまうことも多いでしょう。紙に印刷された普通の検索資料は収録期間が短いし、検索の方法もCD-ROMほど融通が利きません。しかし、様々な検索方法に慣れ、状況に応じてそれらを自由に使いこなすことが大切です。新入生には敢えてCD-ROMを使わず、面倒でも手順を踏んでCD-ROM以外の検索資料を使ってみることをお勧めします。

B「判例体系」(第2期版)(第一法規) 

<検索法条
<特色昭和23年以降の判例を法条から検索できます。昭和48年以前の判例は要旨のみを収録しています。すべての分野における戦後の判例を総覧できるのは「判例体系」だけです。本文は加除式となっており、随時新しい内容に更新していますが、追録の刊行にはCD-ROMと同程度のタイムラグがあります。
<備考各編の最終巻に年月日順の索引がありますが、全体の総索引が無いので、少なくとも関係する分野がわからなければ検索できません。

<構成以下の各編に大別し、法条順に排列しています。
憲法     (5巻)
行政法総則  (9巻)
行政組織法  (7巻)
行政活動法(15巻)
行政争訟法  (7巻)
公職選挙法  (3巻)
民法総則   (8巻)
物権法    (6巻)
労働法   (15巻)
債権法T(総則、契約)
      (14巻)
債権法U(不法行為等)
      (32巻)
親族法・相続法(6巻)
借地借家法 (2巻)
商法    (10巻)
手形法小切手法(2巻)
刑法     (8巻)
刑事特別法  (4巻)
民事訴訟法  (7巻)
民事執行法  (4巻)
民事保全法  (2巻)
刑事訴訟法  (7巻)
無体財産法  (9巻)
租税法   (14巻)

C「判例年報」(「判例タイムズ」4/10 臨時増刊)

<検索年月日、法条
<特色前年度の「判例タイムズ」収録判例以外にも、主要判例集や「金融・商事判例」、「判例時報」などに登載された判例の要旨を民事・刑事に大別し、法条ごとに排列しています。刊行時期も早く、判例の総索引として有用です。巻末の裁判年月日索引により日付から検索できます。
<備考判決言い渡しから掲載までには、数カ月〜1年程度のタイムラグがあるので、下半期の判例は、その年度の「判例年報」を探しても載っていないことがあります。例えば平成6年の判例を調べるときには、平成6年度版(H7.4刊行)だけでなく、7年度版や8年度版も探さなければならないことに注意して下さい。

D「法律判例文献情報」年間索引版の判例編(第一法規)

<検索キーワード(主要事件名も)、法条、年月日
<特色判例集や各種判例雑誌に掲載された判例を、法条・裁判年月日だけでなく、事項(主要事件名も含む)から検索できるのが特色です。国立国会図書館専門資料部の監修により、各種の索引の中では最も網羅的に収録されています。(毎年2月刊行)
<備考年間索引版の刊行が遅いのが難点です。例えば平成10年の判例を収録した年間索引版の刊行は、平成12年2月まで待たなければなりません。年間索引版の刊行までは、月刊の各号の索引を調べる必要があります。

E「判例時報」総索引

<検索事件名、法条、年月日
<特色「判例の部」では、「判例時報」収載の判例を法条ごとに排列しています。裁判年月日順索引に加え、著名事件索引では、行政・民事・知的財産権・商事・労働・刑事に分け、事件名から検索できるのがポイントです。
<注意3種類の索引が刊行されているので、検索対象により使い分けましょう。

    ・総索引(上半期版) 1〜6月の索引
    ・総索引(年次版) 1〜12月の索引
    ・総索引(100号) 100号(2年半)ごとの総索引

F「法律判例文献情報」判例編(国会図書館専門資料部監修/第一法規・月刊)

<検索キーワード、法条、年月日
<特色公法、民事、商事、刑事、労働の5分野に大別し、最近の判例集・判例雑誌に収載された判例の判示事項・出典を収録しています。タイムラグは約3ヶ月です。最近1年間の判例を検索するときは、これを1号ずつ調べていくとよいでしょう。
<索引判例編法条索引、事項索引、判例・判例研究年月日索引

G 最近の判例雑誌の個別調査

「法律判例文献情報」には約3ヶ月のタイムラグがあります。従って調査に万全を期すため、以下の判例雑誌を最新号から遡って数ヶ月分個別に調査しなけれ ばなりません。
 
()「判例タイムズ」(判例タイムズ社・月2回刊)

<特色毎号25〜30件程度の判例を収録し、速報欄には言い渡し後、2〜3カ月の判例が掲載されます。各判例には解説がつけられています。
<備考目次の末尾に「審級別裁判年月日索引」があり、判決日がわかるときは、これにより素早く検索できます。また、年1回「判例年報」(4/10臨時増刊)が刊行されています。

()「判例時報」(判例時報社・旬刊)

<特色毎号20件程度の判例を掲載し、各判例には解説がつけられています。半年ごとに索引が編成され、100号(2年半)ごとに総索引も刊行されています。

()「金融・商事判例」(経済法令研究会・月2回刊)
<特色毎号10件程度の金融・商取引関係の判例が収載され、各判例にはコメントをつけています。

H 最近1〜2ヶ月間の判例について(要旨のみ)

言い渡された判例が判例雑誌に掲載されるまで、早くて2〜3ヶ月かかります。判例の本文は判例雑誌の掲載まで待たなくてはなりませんが、判例要旨だけなら、もう少し早く知る方法があります。

()「法学教室」(有斐閣・月刊)の「最近のおもな判決」
<特色タイムラグ1ヶ月。毎号十数件の判例(最高裁から地裁まで)の要旨を紹介しています。

()「ジュリスト」(有斐閣・月2回刊)の「最高裁判所新判例コーナー」
<特色タイムラグ2ヶ月。十件程度の最高裁判例の判示事項・判決要旨を紹介しています。(概ね隔号で掲載)

()「判例時報」(判例時報社・旬刊)の「最高裁判例要旨」
<特色タイムラグ2ヶ月。数件の最高裁判例の判示事項・判決要旨を紹介。(毎月1日号に掲載)
このほか著名な事件であれば、当日の「新聞記事」も有用です。

 
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