@ 判例を特定するための予備調査
判例を特定するための予備調査は、「U.判例の調べ方(A)」の方法と同じです。素早く調査を済ませ、対象となる判例を特定しましょう。
(ア) 判例付き六法で探す。
・「判例六法」(有斐閣) ← 法条、年月日、キーワード、事件名から検索。
・「模範六法」(三省堂) ← 法条、年月日、キーワードから検索。
(イ) 各種の判例索引を使う。
手がかり | 適 用 | |
|
関連する法条
|
「判例体系」
法条順に排列されています。おおよその年月がわか
|
|
キーワード
|
「法律判例文献情報」(年間索引版)判例編事項索引
年間索引版は翌年次の増刊号として刊行されます。 一年分をまとめたファイルに綴じられているのは、
|
|
事件名
(著名な事件)
|
「判例時報」総索引の著名事件索引
いつ頃の事件か全くわからない時は、以下で調べる
・「近代日本総合年表.第3版」 岩波書店(1991)
・世界大百科事典」(全31巻+補巻4)平凡社(1988)
|
(ウ) CD-ROMでも検索できます。
・ 「判例マスター」(CD-ROM) (新日本法規)
・「リーガルベース」(CD-ROM)(ぎょうせい)
A「法律判例文献情報」年間索引版の文献編(第一法規)
<検索> キーワード、法条、年月日
<特色> 前年度、各種法律雑誌に掲載された論文や判例評釈を検索できます。国立国会図書館専門資料部が監修しており、多くの法律雑誌を網羅しています。検索できるのは昭和56(1981)年以降の文献に限られますが、昭和55年以前の民事裁判例については、以下の「民事裁判例索引」で補うことができます。
<索引> 文献編事項索引(事項名一覧表あり/五十音順)
文献編著者名索引(個人名/団体名五十音順/原綴アルファベット順)
判例・判例研究年月日索引
A「民事裁判例索引」(最高裁事務総局民事局監修/法曹会)
<検索> 法条、年月日
<特色> 昭和46(1971)年より、主要雑誌・判例集に掲載された民事裁判例とその評釈を年次ごとに収録し、法条順に排列しています。巻末に裁判年月日索引がついています。収録対象誌は「法律判例文献情報」の方が多いので、昭和56(1981)年からは「法律判例文献情報」(年間索引版)を利用した方がよいでしょう。
B 各種の判例評釈集
法律雑誌の増刊号として、前年の主要判例の評釈集・解説集が刊行されていま す。翌年2月から7月まで刊行時期に開きがありますが、調査の時点で手に入る ものはすべて調べてみましょう。個々の内容については次項で解説します。
|
年間の判例評釈集・解説集 |
3月 4月 6月 7月 9月 |
「私法判例リマークス」(「法律時報」別冊、上:1〜7月)
「判例セレクト」 (「法学教室」3月号付録) 「判例回顧と展望」 (「法律時報」4月臨時増刊) 「重要判例解説」 (「ジュリスト」6/10臨時増刊) 「私法判例リマークス」(「法律時報」別冊、下:8〜12月) 「主要民事判例解説」 (「判例タイムズ」9/25臨時増刊) |
C「法律判例文献情報」(国会図書館専門資料部監修/第一法規・月刊)
<検索> 年月日
<特色> 「法律判例文献情報」文献編は、毎月刊行される法律関係の図書、雑誌に掲載される法律関係の論文、判例研究記事の情報を収録しています。法制、憲法、民法、刑法など32分野に区分(年度の第1号に分類一覧表あり)し、各文献の題名、著者名、出典、掲載頁を収録しています。巻末の判例・判例研究年月日索引より検索できます。タイムラグは3カ月です。
D「法律時報」の文献月報・判例評釈(日本評論社・月刊)
<検索> 年月日
<特色> 「法律時報」巻末の文献月報・判例評釈は、「法律判例文献情報」と同じく最近の法律関係の図書、雑誌論文、書評、判例評釈の情報を掲載しています。広く政治学関係の文献も収録しており、図書の場合は、目次情報まで収録されているのがポイントです。「法律判例文献情報」より早く掲載されるのが魅力です。判例評釈は、文献月報の最後に裁判所別に年月日順で掲載されています。
<索引> 月次、年間ともに索引はありません。面倒ですがページを繰って1号ずつ調べなければなりません。
E 最近の法律雑誌の個別調査
上記のすべての検索資料を総動員しても、ごく最近の内容まではカバーすることができません。少なくとも最近3ヶ月分は主要な法律雑誌を個別に調査する必要があります。判決言い渡しから何年も過ぎて、やっと判例評釈が掲載されることもあります。これまでの調査の結果、最近1年以内に新たに出された評釈を発見しているなら、面倒でも最近の各号に目を通した方がよいでしょう。また、雑誌の表紙に書かれているのは主要な記事だけなので、ちゃんと目次を開いて、記事をチェックすることが大切です。
F 文献中の参考文献を参照
上記の手順で文献を手にいれたら、各評釈の内容も忘れずにチェックしましょう。先行する研究を踏まえて書かれた判例評釈では、文中あるいは文末に参考文献が挙げられているのが普通です。これを逆にたどれば、今までに集めた文献を補完することができます。