知的財産権の要件と効果

 

知的財産権の要件 特許権型著作権型の大きく二つに分けることができる。

 特許権の目的は、「・・・発明の保護および利用を図ることにより、発明を奨励し、持って産業の発展に寄与することを目的とする。」産業上利用可能で、新規性進歩性等の要件を具備する発明をした者またはその承継者は、出願により、特許庁におけるの実体審査を受けることができる。本来、産業技術の発展のために認められる排他的独占権であることから、発明の公開が条件とされ(出願公開)、当該発明を実施する義務を課し(強制実施許諾制度 特許83条、新案21条 工業所有権条約5条)、出願公告の日から15年、出願日から20年と短く、権利範囲を明確にするためにクレーム制度が認められている。実用新案権、意匠権、商標に関する諸権利も、ほぼ同様の制度を採る。

 これに対して、著作権の目的は「・・・著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作権等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与すること(同法第1条)」にある。著作権は著作物の表現と同時に成立し、審査・登録といった手続を要しない。保護期間も長く、死後50年(写真・映画に関しては公表後50年)である。

知的財産権の効果 − 民事・刑事両方の効果が認められているが、民事責任に関してみれば、その実体は不法行為責任であり、損害賠償請求権が認められる。注目すべき点は、排他的独占権としての実施差止請求権が認められていることで、不法行為に立法による差止請求権を認めた形になっている。

 現実には、差止請求権を背景にした、ロイヤリティー請求権、対価徴収権ないし費用徴収権として機能している。

 しかし、差止請求権自体は知的財産権の本質から当然に認められるものではなく、例えば、隣接著作権の貸与権は、差止請求権が12ヶ月認められるだけで、以後報酬請求権のみが認められる(著作権法95条の2、97条の2)。

 

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