Ex) 情報化社会がトヨタに与えた影響

  ネットワーク作りがカギ トヨタ社長が企業経営で講演

   

 ワールドPCエキスポ981日、トヨタ自動車の奥田碩社長が「21世紀の企業経営と情報通信社会」をテーマに特別講演した。奥田社長は「インターネットや衛星放送はいとも簡単に世界各国の国境を越えた」として情報通信社会の進展が世界中を急速に狭め身近なものにしている現状を指摘。21世紀には「社会のあらゆる壁がなくなるだろう」と述べ、会場を埋め尽くした企業人に向け情報社会への対応が今後ますます重要になるとの見方を示した。その上で、これからの企業社会に不可欠なキーワードとして、ボーダーレスネットワークを挙げた。

 奥田社長は、トヨタの本業である自動車生産・販売での世界戦略と通信事業への取り組みを具体的に説明。世界160カ国で展開している自動車販売では、アジアを中心にした世界中のマーケットで勝ち抜くためには「デファクトスタンダード(事実上の業界標準)が鍵を握る」として、環境対応技術低公害車などの開発の重要性を強調した。

 トヨタは通信事業を新規事業の柱に置き、日本移動通信(IDO)の子会社化などを進めているが、新たな分野への参入としてソニーやインターネット接続プロバイダーのインターネットイニシアティブ(IIJ、東京都千代田区)と共同で来年4月から企業向けデータ通信サービス事業に進出する方針が明らかになったばかり。

  通信と自動車を結ぶ高度情報交通システム(ITSでは「自動車会社や通信会社がネットワーク整備にしのぎを削っている」と話した。ITSへの投資額は2010年には35000億円に増え、その経済効果は10兆円になるとの見方も示した。カーナビゲーションの普及については「日本は昨年100万台に達したが、2000年には300万台が見込まれさらに成長する分野」として自動車向け情報提供サービス「MONET(モネ)」などを通じてサービスを拡充していく方針。

 インターネットによる自動車販売では「米国で97年に自動車を購入した1500万人のうち15%がインターネットを利用して購入したが21世紀初めには25になる」と急速にインターネット販売が広がっていると分析。日本での実施については「トヨタでもガズーというサービスを始めているが、まだ実験段階」と話し、日本でインターネット販売が広がる可能性を探っている事を強調した。

[トヨタ自動車] http://www.toyota.co.jp/

(鈴木 隆 Staff Writer)毎日インターネット情報

[Mainichi Daily Mail Internet/ 981002]

 

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