働く意欲最大に
ソフトや金融商品など知的集約産業が拡大する中、社内外の才能を広く結集する「柔らかな会社」の誕生が現実味を帯びてきた。フィンランドの携帯電話会社ノキアは米国のパソコン用表示装置市場にわずか
5人の正社員で参入、販売・サービス・物流などはすべて外部に委託した。会社が社員を厳しく選別する時代は、優秀な人材が会社や事業を選ぶ時代でもある。報酬は重要な要素だが、Linuxのように創造性に富んだ挑戦の場には無償でも優秀な人材が殺到する。日本でも数百種類のフリーウエアが流通しているほか、民間非営利部門生産額のGDP(国内総生産)比が
96年には3.6%に達し、過去20年で比率は2倍になった。人は何のために働くか。組織の輪郭にこだわらず、働く意欲を最大限に引き出すインセンティブのシステムを確立できた企業が次の世紀に一歩踏み出す。
日本経済新聞
1998年12月6日(日) 「日本経済新聞1面企画」特集「新しい会社」 第6部「理想へ走る」 より
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