-第4章- 電子マネーとオンライン決済(1)

    電子決済 電子マネー

− お金とは?

   「お金」を粗末にしてはいけない」。子供のころお金で遊ぶとよく言われたものである。でも一体「お金」とは何だろう。

 一昔前であれば、小判のようにその「お金」自体が価値を持つ物から作られていた。その後も「兌換紙幣」として、金や銀といった貴金属と交換してもらえる証書であった。しかし今では、どこにでもある金属と紙によって作られ、金や銀などの価値のあるものと交換してもらえるものではなくなっている。一つの国の信用力によって通用している「価値の象徴」にすぎない。お金のこのような「象徴性」、「抽象性」と、「数値で表される」価値であることから、早くからコンピュータに馴染み、これを扱う金融機関は、ネットワーク化されていた。

 身近な例を挙げれば、家賃の自動振替は、自分の銀行の口座から大家さんの銀行の口座にお金(価値)を移してもらうことである。また、取引先から小切手を貰った人は、自分の取引先の銀行に持って行って現金に変えてもらう。これは実は、自分の取引先の銀行に小切手を振り出した人の銀行の口座からお金(価値)を移してもらう「取立委任」をしてもらっているのである。

短期信用市場等
http://www.tradition-net.co.jp/kouza/kinyu_kouza/kinyu_index.htm

 銀行間の間での資金の移動は非常に大きくなる。これを全部実際にお金のやり取りをするのは、当然、意味のないことであるし、輸送の危険が伴う。民法上の相殺、商法上の交互計算で、互いに互いの債務を消してしまえば済むことである。
 日本の場合、銀行間の銀行間決済情報交換システムとして「全銀システム」と呼ばれるものがあり、一営業日平均で一兆六四七三億円(平成一一年度) http://www.boj.or.jp/down/siryo/data/kess0002.pdf←リンク切れ
のお金が、情報として動いている。
 また、世界的規模では「SWIFT(The Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication ブリュッセル本部の非営利団体)」という金融機関決済システムがあり、金融機関1日あたりの取引金額2兆ドルを超えるという。

日本銀行 統計・データ
http://www.boj.or.jp/stat/kess/kess.htm#01
(上のリンク切れの変わりに足してみました。)

 決済に関する情報がデータ化されやすいため、コンピュータ処理による利便性が高く、情報処理化が他の業界よりも進展していた。そこで、金融機関のみの閉鎖的なシステムを、他に先駆けて作り上げたのである。
 このような電子資金移動のことをEFT(Electronic Fund Transfer)と呼んでいる。また、電子決済のことをEDI(Electronic Data Interchange)と呼ぶことがある。
(「EDI」は、現時ではより広い概念で、「業種・業界の枠を越えた電子商取引のデータ交換に関する標準規約を使っての企業間オンラインデータ交換システム全体」を指し、電子商取引B to B の根幹をなすものである。)