-第4章- 電子マネーとオンライン決済(2)

    【様々な決済方法】

− 電子決済制度

 電子商取引で決済手段がクレジットカード以外使えない点が、その安全性の問題から普及の足枷になっていることは指摘したが、クレジットカード関連の情報を、暗号を使って安全に送る方法は既に実用化されている。SET(Secure Electronic Transactions)やSSL(Secure Sockets Layer)と呼ばれているものがそれで、これらの技術は、後述する電子マネー等でも使われている。しかし、インターネット上の取引が盛んになるにつれて、より安全で簡便なインターネット上の決済が求められるようになった。  非常にたくさんの電子決済方式が提唱されているが、ここでは、従来の決済方法との関連で理解しやすいようにまとめておこう。

 意外かもしれないが、民法は現実の金銭の受け渡し以外規定していない。
民法以外の決済は、手形・小切手が「手形小切手法」、クレジットカードが「割賦販売法」プリペイドカードが「前払式商標の規制等に関する法律」によって規制されている。

− 電子マネー<http://www.kbs.keio.ac.jp/kokuryolab/class/info2/1995/g4/g4.html>
↑リンク切れ

 プリペイドカードは、磁気情報化された金銭価値という意味では、広い意味での電子マネーということができるであろう。テレフォンカードやJR、地下鉄等のカードで使われているが、ICチップを埋め込んだタイプのものも、ドイツのテレフォンカードのように存在する。(よく読めなくなって困ったものだが・・・。)このICチップを埋め込めたプリペイドカードを発展させ、使い捨てでなく金銭価値の最重点ができるようにしたものが、電子マネーの一種である。いわば、カードが財布になる形である。モンデックスの電子マネーがこの形をとる。

− デヴィットカード

 クレジットカードとここで挙げた電子マネーの中間に位置するものが、デヴィットカードである。電子マネーが金銭価値の充填の必要な財布だとすると、銀行のキャッシュカードをそのまま財布にしてしまうもので、例えていえば、銀行の口座をいつも持ち歩いているようなものである。具体的には、商店で物を購入してキャッシュカードを店のカードリーダにかけてもらい、暗証番号を押す。この行為で客の銀行の口座からお店の銀行の口座に電子資金移動(上述EFT)がなされる。

 さらにこれにキャッシュアウトと呼ばれるものを組み合わせることがなされている。お店でついでに現金を下ろしてしまうのである。例えば、一万円の買い物をして二万円のキャッシュアウトをすると、客はお店から品物と現金二万円を受け取り、客の口座からお店の口座へは三万円が移ることになる。キャッシュアウトのできるお店は、客から見るとお店のレジが現金を下ろすことのできるATMに早変わりしてしまう。店のほうは現金の準備が大変だが、お金を下ろす(キャッシュアウト)できることで客を集めることができる。
(ただし、日本でキャッシュアウトができる店は、まだ無いようである。)

 クレジットカードでも同様のことが出来、また実際に利用されている。
 以上の三種類のカードは、利用する金額によって使い分けられることだろう。クレジットカードは高額商品の購入に、電子マネーは小額商品、デヴィットカードはその中間といった住み分けである。クレジットカードはカードの種類によるが、相当高価なものまで購入できるが、紛失の恐れや使いすぎ等の自己管理の必要性がある。デヴィットカードは銀行口座に残高がある範囲内で購入でき、使いすぎの危険は無いが、口座残高が多い場合は紛失の際の危険性はクレジットカード同様高い。電子マネーは銀行からICチップに入れた範囲内で購入できる。どの範囲内で普段ポケットで持ち歩くか、消費者が決めることができる時代が来ているといえよう。

 ただ、今のところ、電子マネーの実験はあちこちで失敗しているようだ。電話とすべての交通機関で使えるようにすれば、相当普及すると思うのだが・・・。