とういんよこはまだいが

桐蔭横浜大学広報誌


No. 62
1999年5月


ポロニア オンライン
www.cc.toin.ac.jp/kika/paulownia.html

  

編集・発行 桐蔭横浜大学企画調整室
発 行 日 平成11年5月20日
  


〒225-8502横浜市青葉区鉄町1614番地
TEL: 045-972-5881(代表)


今月のポロニア:


学長の巻頭言

研究最前線

桐蔭生涯学習センター

海外出張レポート

法学部社会人大学講座開講

教員学術活動

憎悪犯罪(hate crime)と偏見

推薦図書

法律Q&A

学生相談室だより

平成10年度就職実績

掲示板

編集後記



大学のトップへ (www.toin.ac.jp/univ)
学園のトップへ (www.toin.ac.jp)



学生と読書

理事長・学長 鵜川 昇


学生時代に河合栄治郎という東大経済学部の教授が編集した「学生と……」という叢書(そうしょ)が出た。そのころの出版社で、知的の面でのトップは「中央公論」、それに並ぶものとして「改造」があり、「日本評論」があった。「学生と読書」は、日本評論社の出版であった。大衆的なものを扱った分野では、野間清治が苦学力行した体験を基に、大人を相手にして読みやすい記事を載せた「キング」「婦人倶楽部」と「少年倶楽部」「幼年倶楽部」があった。  

梶田叡一前京大教授の講演「結果に責任をもつ教育」の中で、「見えるもの」と「見えないもの」を学習のプロセスの中で、いかに取り上げるかという示唆に富む話があった。雑誌で得られる知識等は学校の成績評価には関係しない。正に評価には現われない知識と思われる。  

小学生のころは「幼年倶楽部」−「何日発売、スグ書店ヘ、早ク行カナイト売切レマス」等という広告をまともに受けて、発売日の前から本屋のおばさんに、何日の何時ごろ売るのかと駄目を押しに出かけたものである。特に付録に魅力があり、「象太郎」という「象の子ども」の話や絵等は、今も目の前に浮かんでくる。家から飛び出し、迷子(迷象?)になって曲馬団に売られる話である。父親に反抗して飛び出したくなる気持ちを抑えるのに、この話は強い影響を与えた。正月、曲馬団がやって来た。木下大サーカス等では象の曲芸がある。この象も、家出してつかまったのかなという気持ちで見ると、曲芸をする象が可哀相になる。「勉強嫌いで、なまけもの、親の言うこと聞きません。迷子の迷子の象太郎」等という言葉は、今も口に出てくる。修身教科書等よりはるかに心にしみた。学校の評価には見えない学習の一つであろう。

中学生になると「少年倶楽部」になり、後年の第二師団長・多聞中将の青年将校時代を描いた山中峯太郎「敵中横断三百里」には血を躍らし、佐藤紅緑の「あゝ玉杯に花うけて」等を読んでは一高志望の気持ちをあおられた。この中であったかどうか、佐藤紅緑の小説で読んだ一節、夜店の古道具屋が路上に並べた商品の中にナポレオンの小さな石膏(せっこう)がある。二人の若者があれこれと見て、その一人が「そのナポ公いくら?」と聞くと、親父は売らないという。「売らないものをなぜ店に置くんだ」となじるが答えない。若者が去ると、様子を見ていた群衆の中の一人の少年に「なんだあいつ。ナポ公とは。ばかにするな」といったやりとりがあった。若者の非礼をとがめた貧しい夜店商人の心意気に打たれた少年の日の感慨は、今もよみがえってくる。こうした少年が、旧制中学から旧制高校になったころ、日本評論社の「学生と読書」にかじりついた。書目一覧がついていて、そろそろ発売禁止になるという噂の岩波文庫でマルクシズムの類を分からないながらも買って読んだ。小説では、共産主義から転向した島木健作の「生活の探究」「続生活の探究」等魅力ある装丁も印象的であった。石坂洋次郎の「若い人」を読んで、「間崎先生のような女学校の教師になりたい」等という友人も出てきた。

後年、吉田精一という東大教授の下で教科書編集を10年ばかりやったことがある。私のほかは全員教授の弟子ばかりで、その連中が読んだ本の大部分は研究のための読書で、論文を書くための研究書あさりや、中には拾い読みで楽しくないという。私は乱読で、興味と関心、時に必要に迫られると、あらゆる分野の本を読む。読みたい本は買う。中には今は読む時間がないが、将来必要かなと思う本は買う。若いころから何をおいても本という生活をしてきた。好きでやってきたので人に強いる気はしないが、本に関心を持たない人は別の世界の人と思うことにしている。最近別の世界の人が多くなった気がする。ただし、専門分野の本は読まなくてはいけないし、読んでいる人はかなりいる。研究であるから、これは読書ではないと思う。





研究最前線

工学部一般教育
土屋 信雄助教授

「空間の構造」

自然や身の回りの世界にはいろいろな模様があります。5月の海の表面の波、新緑の木の葉のなす模様、木の葉の葉脈、風に揺れるカーテンの模様等。模様を、考えている空間の一つの「構造」ととらえることができます。例えば木目は、「木の切断面」という2次元の空間の、「木目模様」という構造です。  

模様の内で、層状に積み重なっているもの、例えば木目の模様、崖に見える地層の模様等をフォリエーション(葉層構造)といいます。葉層構造の研究者としても有名なアメリカの数学者サーストンは、フォリエーションのことを「ストライプ模様の研究」と表現しました。  

2次元の空間のストライプ模様は、絵を描いて調べることができます。数学では3次元の空間、さらには4次元、5次元……の空間の構造を調べようとします。高い次元の空間の模様を調べるためには、そのための準備や定式化が必要になります。数学の言葉を知っている人のために定義をしますと、ある次元の空間(多様体)が、より低い次元の部分多様体の族で、重なりなく埋め尽くされているとき、その空間にフォリエーションが定まっていると言います。  

葉層構造論では、どのようなフォリエーションがいつどのような空間にあるか(存在問題)や、それはどのくらいあるか(分類問題)を研究します。フォリエーションの全体を考えると、対象が広すぎて、結果は抽象的な、場合によっては空疎なものになりかねません。フォリエーションであって、さらに付加的な構造を持ったものを考えると、幾何的に面白い問題が立ち現れてくることがあります。  

私たちは、大きな対称性を持ったフォリエーション(あるリー群の作用で定まるフォリエーション)を研究しています。研究を進めていくと、一つの問題が他の問題を生み、数学のいろいろな分野に本質的な関係を持っていることが分かってきました。
●土屋信雄助教授略歴

1950年岡山県岡山市生まれ。73年東京大学理学部数学科卒。東京大学大学院理学系研究科博士課程数学専門課程修了、理学博士。東京工業大学理学部助手を経て、90年本学助教授。

力学系の理論、ユニタリー表現論、離散群の理論等です。  

分類問題の研究がうまく進むと、対象が自然なものに限られることが分かってきます。しかし、その中でまた、アノーマリーとも言うべき、一般論とは異なる「異常」な事態が現れてきて、そのことがまた次の興味深い探究の発端になります。数学の研究の楽しみは、すべての科学と同じく、もともとそこにあったがわれわれの目には見えなかった事実を、少しずつ発見していくことにあると思います。





桐蔭生涯学習センター

平成11年4月よりスタートした桐蔭生涯学習センターでは、法学部昼夜開講制に伴う夜間主コースのTV授業をはじめ、数学セミナーでおなじみの志賀教授の数学講座等、さまざまな企画が動き出している。


法学部夜間主コースTV授業

 学習センター 現在、法学部の夜間主コースの授業としては、月曜日から金曜日までの6、7時限(午後6時〜9時10分)と土曜日の1〜5時限(午前9時〜午後5時50分)の時間帯で実施されているが、夜間主コースの学生および社会人学生を対象に、時間的に青葉区のキャンパスで授業を受けることが難しい学生に、横浜駅西口の桐蔭生涯学習センターでの受講を認めている。生涯学習センターで受講できる授業は、5科目、7時間分となっている。授業は、電話回線を使い、双方向通信可能なテレビ会議システムを利用し、先生からの一方的な講義ではなく、生涯学習センターから随時質問をすることも可能である。映像、音声等、いろいろな面で改良、検討が必要であると思われるが、今後、さらに有効的な利用方法を考えていきたい。


数学講座

志賀浩二教授による数学講座が、土曜講座「はじめからの微分積分」、水曜講座「はじめからの数学」の二つに分かれて開催されている。土曜講座は5月8日から、水曜講座は5月12日から開始され、それぞれ15名ほどの受講生が受講している。昨年まで実施してきた数学セミナーを発展させ、より広く一般の方々に数学のだいごみを味わってもらうことを目的とし、アットホームな雰囲気の中、本当は高度な数学の理論も志賀教授の軽快な話術に、数学の面白さ、奥深さ、美しさを実感してもらえることと思う。今後、7月中旬までの全10回の講義が予定されている。この講座で得た知識を職場で、家庭で大いに発揮してもらい、数学の本当の面白さを多くの人に、広めてもらいたいと思う。





海外出張レポート

企画調整室
鎌田純次室長

−知の回廊に佇んで−

入学式の翌日から法学部長の村上淳一教授とドイツへ出張することになった。用件は桐蔭メモリアル・アカデミウムに収蔵を予定している古刊本の保存管理について高度なノウハウを有する「ヘルツォーク・アウグスト図書館」、マックスプランク研究所(ヨーロッパ法史)の訪問、展示ケースで世界的に定評のある会社の訪問および関係資料の収集手配等である。

ヴォルフェンビュッテルにある「ヘルツォーク・アウグスト図書館」は文献調査の利用だけでなく一般(観光客)の人の見学にも開放されていた。ここでは本が美術品のように展示して鑑賞するという扱いを受けている。なるほど活字で印刷される以前の手作りの本は一文字一文字が手書きで装飾が施されていて美術作品そのものである。最初に入った部屋は吹き抜けの高い天井でその壁面いっぱいの書棚には入室者を圧倒する量の古い装丁の本が並べられていた。壁面の2階部分の回廊スペースはまさに「知の回廊」とも言うべきところである。古刊本の保存管理上からか光量を落とした雰囲気には人類の知の遺産を守り伝えていくという確かな意志を感じさせる何かがあった。

この部屋に隣接して作られた部屋の扉は分厚く明るさは5ルックス程の薄暗い中でさらに展示ケース入れられて厳重に管理されていた。この図書館で最重要な部類の本であるらしい。ケース内の本は見開きで展示されていたが、開くページは頻繁に変えているとのこと。光に対してかなり気を付けていることを直接肌で感じることができた。このような状況はマックスプランク研究所でも同様で環境の変化にはかなり注意されていた。貴重な本は空調管理のされた部屋の中の更にカギがある書棚に保管されて、特別に許可された人が利用する場合でも部屋からの持ち出しはできないとのこと。

現地に行かなければ気がつかなかったことの一つに湿度に関する管理がある。日本であれば本の管理では除湿に注意するところであるが設置されていたのは加湿器であったのには驚かされた。根底にある微妙な感覚の違いを知らされた。

訪独のもう一つの目的である法学に関する資料収集のためにミュンスターの古物商に立ち寄った帰途ライン川沿いを走る列車でフランクフルトに戻ることにした。車窓から見る古城は中世をしのばせる風情を漂わせていた。ローレライの難所もあっという間に通り過ぎたが村上教授の深くて広い理解を背景にした説明に充実した一時を過ごすことができた。今回の訪独は私にとって暫し知の回廊に佇む思いを抱かせる旅でもあった。





法学部社会人大学講座開講

「市民参加と法」

平成11年度法学部社会人大学講座が5月15日に開講した。今年のテーマは、「市民参加と法」。市民が直接参加して、自分たちの生活、権利を守ろうという動き(ボランティアやオンブズマン)や自己の権利は自分で守るという観点から、各自がさまざまな情報を収集したりする動きが活発になってきており、このような動きに焦点を当て、ボランティアやオンブズマンに直接関与している講師を含め、それぞれの専門分野から分かりやすく解説していく。  

平成3年度からスタートし、平成6年度からは法、工別々に年2回開催するようになり、今回で通算14回目を数える今回の講座では、受講申し込みが101名(男性67名、女性34名)に達した。年齢別では、60代が最も多く全体の31・6%、次いで50代の29・7%で、40代、70代と続く。最高年齢は男性85歳、女性76歳で、最低年齢は男性40歳、女性24歳であった。毎回のことではあるが、過去に本学の社会人大学講座を受講されている方が多く、今回の講座でも86名が過去の講座を受講されている。  

5月15日は、講義に先立ち午後1時から開講式が行われた。 法学部社会人大学講座開講 開講式では、開式のことばに続き、鵜川昇学長から、毎年多くの方々のご参加をいただいているお礼と、この講座は参加されている方々とともに作り上げていくものと考えており、そのために忌憚のないご意見、ご批判をお寄せいただきたいとのあいさつがあった。引き続き、村上淳一法学部長から各講義の内容の紹介があった。講師担当者のうち1回目を担当する古野先生以外は、授業、学会等の関係で参加することができず、少々寂しかったものの、例年どおり厳粛な雰囲気の中、実施された。  

開講式終了後、午後1時30分から、1回目の講義が行われた。講師を担当されたのは古野豊秋教授、テーマは「憲法とその番人」であった。最後の質問の時間では、日本国憲法制定に関するものや、ガイドライン法案、成田空港の土地問題等、活発な質疑応答が行われ、いつもながら受講生の真剣な態度には頭が下がる思いであった。





教員学術活動


論文掲載

学会・研究会発表

講演会・研修会等

国際学会・シンポジウム等での発表・講演

海外出張

著書出版

雑誌掲載

新聞記事掲載

特許申請(発見・発明)等

各種表彰・受賞

招待講演

学内発表会、催し物等

研究最前線(研究の紹介)

その他





憎悪犯罪(hate crime)と偏見

米国コロラド州リトルトンのコロンバイン高校で発生した銃乱射事件は、銃の氾濫、差別、いじめ、有害メディア等、米国社会が抱える多様な問題を浮き彫りにさせた。とりわけ注目されるのは、今回の事件が、米国社会に潜在する差別意識を象徴する「憎悪犯罪」の要素を含んでいるとされることである。  

ゴンザガ大学のグロリア・マクミラン教授によれば、憎悪犯罪は過去から現在まで存在し、将来も存在し続けるであろう。例えば、今回の事件以外にも、最近の事件として、テキサス州ジャスパーで発生した人種に起因するアフリカ系アメリカ人バード引き摺り殺人事件やワイオミング州ララミーで発生した性的志向に起因するシェファードめった打ち事件があり、米国社会では時々に不寛容な態度が公に誇示されるのが垣間見られる。  

憎悪犯罪は、被害者が人種や性的志向のように変更不能な特性によって選ばれるところに特徴がある。特定の個人や集団がその特性によって被害者となる場合には、アフリカ系アメリカ人社会やゲイ・レズビアン社会のような社会全体に被害が及ぶ。だがしかし、市民社会において、感情的に受け入れられないとして、他者に危害を加えることは認められない。  

憎悪犯罪に関する他の諸問題として、届出、訴追、被害者援助、社会による不寛容の受容の問題がある。  

まず、被害者の多くは憎悪犯罪を法執行機関に届け出ようとしない。なぜなら、法執行機関が彼らの被害を真摯に受け止めなかったり、トラウマに悩む時に同情が示されなかったりして、更なる被害者になると考える者がいるからである。また、被害者に言葉の障害があったり、ライフスタイルを他人に知られたくない被害者もいるからである。  

また、憎悪犯罪の証明はたいそう困難である。侮蔑的な言葉の発声、偏見思想に関する物品の発見等、特定の証拠が存在しない限り、犯罪が偏見に起因することを証明するのはほとんど不可能である。  

さらに、最近の研究によれば、憎悪犯罪の被害者は、回復に時間がかかり、抑鬱あるいは他の心理障害に陥りやすく、また、孤独・離脱感を抱くことがある。これらに対処するために、政府機関や社会組織が広範囲にわたって被害者に援助の手を差し伸べなければならない。  

最後に、米国社会は偏見を動機とする犯罪を非難すべきものと考えるが、この問題に対する無関心な態度が見られるのも事実である。これは、この種の不寛容を受け入れる何らかの土壌が社会に存在することを表している。(つづく)

(法学部助教授 竹村 典良)





推薦図書

「チベットの7年」

SEVEN YEARS IN TIBET(H.HARRAR)を店頭の平積みに見つけて、買ったのが昨年の暮れ、また3分の1読み残している。冒険談としてストーリーを追うなら邦訳か映画化されたものを勧める。

 HARRERは戦争開始直前のナンガパルバット(8125m)ドイツ隊のメンバーで、カラチで英軍の捕虜となり、脱走を繰り返し、遂にヒマラヤの北側に逃げおおせた。  

HARRERの名は、若いときから知っている。アイガー北壁の初登攀者であり、北壁のバイブル「白い蜘蛛」の著者として六十年代始めの日本の「町の」山岳会ではつとに有名であった。巻末にあるルート記述と写真を切り取って胸ポケットにしまい、シベリア鉄道経由でヨーロッパに行った日本人クライマーは少なくない。  

苦痛の極みのシベリア鉄道の旅とともに、日本海を渡りウラジオストックに着いたときのスッキリした気持ちをしばしば聞いた。

  翻ってHARRERは生まれたときからユーラシア大陸の人であった。その気さえあれば、歩いて極東でもアフリカでも行ける。脱走にかける情熱はここに発しているのかもしれない。  

チベットもユーラシアの国である。インドからヤクの背に乗ってテニスボールもネットも入ってくる。日本の幕末の状況と比べれば、よほど欧化していたようだ。

(工学部教授 竹内 正顯)





法律Q&A

 オンブズマンて何?

 「オンブズマン」の語源は中世のゲルマン民族の社会にまでさかのぼり、そこでは、不法行為者から補償金を取り立てるため、中立の団体から選任された人の呼称でありました。現在では、この言葉はスウェーデン語の普通名詞で、本人に代わってその利益を守るために行動する者という意味です。そして、わが国では、公務員に対する苦情を処理したり、自治体の行政を監視する人や団体という意味で用いられています。  

行政とかかわりを持つオンブズマン制度は、スウェーデンで発祥しましたが、第2次大戦後、行政が広く市民生活とかかわる現象が世界各国で見られ、それとともに、行政を監視する機能を持つものとして、この制度が各国で導入されました。わが国では、現在16の地方自治体が、自治体によって任命されたオンブズマン制度(公的オンブズマン)を持っていますが、これ以外に全国各地に市民運動としてのオンブズマン組織があります。

公的オンブズマンは、地方行政と住民の間に立つ中立性の強いものとして、議会の承認を受けて選任され、主として、自治体や自治体職員に対する住民の苦情を扱います。住民の苦情は、自治体職員の窓口対応の問題から、公営住宅、ごみ収集等、福祉や生活に関するもの、条例の改廃に関係するもの等、さまざまなものがあります。オンブズマンは、苦情があった事柄について、簡易で迅速な調査を実施し、その結果、オンブズマンが自らの見識に基づいて、行政に大して改善→勧告を行い、必要に応じて新聞等を通じた意見表明もいたします。これらの勧告や意見はそれ自体に強制力はありませんが、行政側はこれを尊重し、実現に努めなければならないことが条例や要綱で定められており、その実現度は高いといえます。

市民運動としてのオンブズマン組織は、情報公開制度や住民訴訟の提起等の方法を用いることにより、主として自治体の財政問題(例えば公費の不当支出)等にメスを入れ、マスメディアと連携をとって活動をしています。これからは、この市民運動と公的オンブズマン制度が、それぞれその特徴を生かし、あるときは補い合って、行政の改善や監視機能を高めることが必要となるものと思われます。

(法学部教授 大石 忠夫)





学生相談室だより

はじめまして、4月号の学生相談室だよりでご紹介いただきましたカウンセラーの西口夫巳枝です。

私が主に経験してきました仕事の内容について、少しお話ししたいと思います。

私は長い間、公立の教育相談室で、教育相談という仕事をしてきました。そこでは、心理的な問題、不登校、そのほかの訴えで来所された児童・生徒とその保護者を対象に、主に母子並行面接(保護者の面接と子供の面接を別々のカウンセラーが行う)という形で心理面接をしてきました。その場合、あるケースには私が保護者の面接を引き受け、別のケースでは、私が子供の遊戯療法(プレーセラピーともいう)を引き受け、二人でペアを組んで一つのケースに対処していくという方法です。

その職場を3月に退職し、この4月から、ここの学生相談室のほかに、東京の都立高校と公立中学のスクールカウンセラーとして勤務することになりました。そこでは、生徒の話を聞いたり、不登校気味の生徒の保護者の面接をしたり、行動面で少し問題のある生徒について、心理面から見たアドバイスを担任の先生にしたり……という仕事をしています。毎日違う職場で勤務するので、切り替えを上手に、その経験を生かして、それぞれの職場で精いっぱい頑張ってやっていきたいと思っています。

今回、初めて大学生の相談を引き受けることになり、とても楽しみに期待していると同時に、お話しに来て下さるかしら? とちょっぴり不安な気持ちです。

そこで、私なりに学生相談室が、どなたでも、ちょっとホッとしたい時、何となく自分のことを話してみたい時、どんなことでも気楽に、話をしに行ける場所にしていきたいなと思っています。自分の性格について、家族について、また将来について……等、何でも話したいと思っていることの話し相手の一人に私を加えて下さればありがたいと思います。もしそれらのことで悩んでいらっしゃるのなら、解決の糸口を一緒に見つけていきたいと思っています。

どうぞ、学生相談室を気軽に訪ねてみて下さい。お待ちしています。

◆学生相談室
場所:4号館(法学部棟)5階J550
電話:045(974)5626(直通)
045(974)5001(内線7164)

  平成11年度前期の学生相談室の相談日程はこちらです。





平成10年度就職実績
平成11年度展望

平成10年度 進学・就職状況(表)

今年度は就職協定廃止から3年目に当たる。企業の採用活動は次第に早まる傾向にあり、昨年度に比べ3週間から1カ月近く早いペースで採用活動が行われている。  

就職協定の廃止は、通年採用等、採用方式の多様化や採用期間の長期化につながり、当初は学生が希望する企業に就職できるチャンスが広がるとの見方があった。しかし、実際には景気低迷を背景に、企業は採用活動費用を削減するために採用期間を短縮しており、学事に影響を及ぼす早期化のデメリットだけが目立っている。  

各企業は採用期間を短縮し、より良き人材を得ようと採用の選考がさらに厳しくなってきている。従って、複数の企業から内定を得る学生と、いつまでも内定を得られない学生の二極化が一段と進む傾向にあり、年間を通して就職活動をしなければならない学生が出ることになる。これらの学生にとって、就職活動は非常につらいことであり、自信をなくす学生も出てくる。これらの状況を反映してか、スタート時期から半分あきらめ気味で「就職できなければできなくてもいい」と考えている学生も増えてきている。  

企業の採用方法も多様化しており、大企業および中堅企業ではインターネットによるエントリーシートでの応募またはメールエントリーが増加の傾向にある。インターネットを操作できることが応募の条件ともなってきており、今後コンピュータの操作は昔の「読み・書き・そろばん」同様に欠かせないものとなりつつある。しかし一方では、一見公平に公開されているインターネットでの公募が、大学格差となっているケースもある。これは大手・中堅企業の中には、指定校制度をとっているところもあり、例えば、エントリーシートで応募する場合、指定校は既に説明会の日程が決定しているのに対し、指定校でない大学の学生が応募する場合は、エントリーシートを提出後、説明会の日程が定められること等である。指定校制度と称して採用の早期化に伴い、水面下での大学格差がより一層強まることを恐れている。  

5月12日現在での本学の内定者数は、法律学科13名、制御システム工学科9名、材料工学科2名となっており、内定者数は昨年度の同時期を上回ってはいるが、企業の採用活動も早まっていることを考えると、かなり厳しい滑り出しと考えざるを得ない。企業の採用活動は、早いところは3月中に、優良企業の一部では4月中に内定を出しているが、全体的には5月が今年度の就職戦線の大きなヤマ場となる。しかしながら、来春の大卒採用予定者数は、今春に比べ11・9%減と、2年連続で減少する見通し(日本経済新聞社調査:対象企業1408社)で、県内上場企業においては、24・4%が「減らす」、13・4%が「採用なし」と回答(神奈川新聞社調査)しており、今年度も学生にとってはかなり厳しい戦いになりそうである。  

昨年度は両学部共に就職率は100%であり、業種別および主な就職先についてはグラフおよび表を参照していただきたい。





掲示板

法律プロフェッション・プログラム

基礎マスター「民法」開講  (→日程表

教材を使い、司法試験等、資格試験に必要な知識と基本論点を修得することを目的とする「基礎マスター民法」が6月3日からスタートします。受講に当たっては、復習することに力を入れ、自分の弱点の発見、理解度チェックをして、理解できないところがあれば、質問カード等を使ってどんどん質問を出して下さい(日程は別表を参照して下さい)。受講申し込みは、随時受け付けますので、法律プロフェッショナル・センター事務局(法学部棟事務室内)までお申し込み下さい。  

なお、既に開講しております体系マスターの申し込みも可能です。ご希望の方は、事務局までお問い合わせ下さい。



法律シンポジウム

法学部公開授業の実施に伴う、スタンフォード大学教授の来日を好機として、毎年実施しております法律シンポジウム。今回はトマス・アーリッシュ教授をはじめ、国立教育研究所の喜多村先生をお迎えして「21世紀の大学教育〜スタンフォード大学の発展および大学審議会答申を踏まえて」というテーマで開催されます。詳細は次のとおりです。

日時:5月29日、午後2〜4時
場所:4号館(法学部棟)J201講義室
定員:300名
参加費:無料
パネリスト:鵜川昇(桐蔭横浜大学学長)
トマス・アーリッシュ(スタンフォード大学教授)
喜多村和之(国立教育研究所教育政策研究部長)
ディスカッサント:赤堀正宜(桐蔭横浜大学工学部教授)
司会:山城崇夫(桐蔭横浜大学法学部教授)
申込期間:5月22日まで
問い合わせ先:大学企画調整室







編集室からのお願い

・掲載記事の種類、内容についてご意見ご希望をお寄せ下さい。
・この広報誌は、毎月一回20日に発行しますので掲載希望の記事がありましたらご連絡下さい。ただし、採否は編集担当一任とします。
・「法律Q&A」について、法律に関する疑問、質問をお寄せ下さい。
・ この広報誌に関するお問い合わせは大学企画調整室まで。




編集後記

臓器移植の2例目が報じられた。まだまだ解決しなければならない問題も多く、家族へのケアを含め、一つ一つの問題をクリアしていけば、ドナーの数も増えてくるであろう。今後の動きも注意深く見守っていきたい。(A・S)




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編集・発行

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