インターネットの成立と歴史


 大学院生時代「telematique」というフランス語の単語で苦労した。ある論文を翻訳していてこの単語にぶつかったのだが、どの辞書にもなく、三ヶ月間、あちこち探し回り、ようやくある論文で意味を見つけ出した。
見つからないのも道理、実はこれ、当時出来立ての造語で「telecommunication(通信)」と「informatique(情報)」をくっつけた単語だった。
 あれから一八年、蒸気機関が、交通機関と結びつくことによって第二次産業革命を引き起こしたのと同様に、 「情報(特に電子計算機)」と「通信」が融合し、第二次情報革命のまっただ中にある。今ではどこでも目にする「情報通信」という言葉も、当時は馴染みのない新語だった。


 アメリカ文化に犯されてはならんと頑なに母国語と自国のネットワーク(ミニテル)にこだわり、インターネットとなかなか繋ぎたがらなかったフランスと違い、アメリカに染まった日本では、「英語」と「インターネット」の話題に遅れることへの恐怖で夜も眠れない毎日である。このデジタル窓際族にとって、恐ろしい「インターネット」とはなんだろう。簡単である。
世界中のコンピュータが通信によって結びついたというだけである。
そこでどんなソフトウェアーが使われるか、その言語の覇権がどこになるかは、インターネットの運用に関する副次的な問題にすぎない。


 ではなぜ、社会に影響を与えるのか。
それは、世界中の「個人」のコンピュータが全部繋がってしまうことで、大げさにいえば、人類が初めて政府やマスコミという既成の従来型権威の情報操作なしに、空間を意識せずに、世界中から一次情報を得ることが出来る様になってしまうからである。 このため、法の領域も、様々な影響を受けている。


 インターネットが広まる前から、パソコン通信と呼ばれる電話回線を使ったの商用ネットワークが普及していた。
これは、例えばニフティという会社のコンピュータに、会員のコンピュータを電話回線で繋ぐものである。
私がそもそもネットワークに興味を持ったのも、実は、10年前にこのパソコン通信で日本中の人と囲碁を打ちたいという趣味の世界からだった。


 このパソコン通信だが、一つのコンピュータに会員全員がつながることによって情報を共有する。これに対して、インターネットは個々のコンピュータが網の目のように対等につながっている。
また、前者が営利を目的としているのに対し、後者は学術ネットから始まった(マスコミではよく軍事用ネットワークからとされているが・・・)ボランティア組織の集団である。


 さらに技術的に見れば、前者がMS-DOSというパソコンレベルでの接続であったのに対し、後者はUNIXといわれる、一ランク上のコンピュータの接続であった。
もう少し言い直せば、パソコン通信は、一つの親コンピュータ(サーバ)に、契約した複数の子コンピュータ(クライアント)がぶら下がり、親コンピュータを通じて子供同士が情報を共有する社交クラブのようなものであるのに対して、インターネットは、親コンピュータ同士をつなぎ合わせることによって、すべてのコンピュータを繋ぐものと理解することもできる。


インターネットという言葉は、「インター」と「ネット」の二つの言葉でできている。


 「インター」という言葉は、インターシティ(都市間)、インターナショナル(国家間・国際)、インターコンチネンタル(大陸間)というように、二つのもののつながりを示す。
インターネットは、「ネットとネットの間」、つまり「ローカルネット相互を繋いだもの」という意味になる。
パソコン通信のネットワーク、会社の内部ネットワーク、大学内部のネットワーク、役所内部のネットワーク、それぞれをローカルエリアネットワーク(LAN)と呼ぶが、これらのローカルネットワークを相互に繋いだものがインターネットである。


参考リンク
インターネットを利用する方のためのルール&マナー集 (2011/04/05 リンク確認)
・初心者がだいたいわかるインターネットの仕組み    (2011/04/05  404リンク確認)



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