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「人類の将来と医学」
2002年9月9日
早川吉則
2005年3月19日以来の訪問者 近年科学技術の発展は非常に急速であり、それに伴って医療技術も急激に変ぼうしつつあります。ところで根本的な問いかけとして、これらの医療の改革は人類全体の将来の幸福に役立つものなのでしょうか。ひと昔前ならばとっくに早死にして淘汰されていたに違いないと思われるような虚弱体質の人が、医療の進歩のおかげで生き延びたばかりか、子宝にまでめぐまれるようになったということはまことに喜ばしいことで、私個人としてもおめでとうございますと心からお祝いを申しあげたい。しかし人類の将来を考えると、虚弱な体質の遺伝因子が将来の人類に残されていくことになり、淘汰がなくなると人類が進化の過程でつちかった貴重な遺伝的素質がどんどん劣化をはじめ、やがて私自身の子孫もふくめた人類が恐竜のように滅亡してしまうという心配があります。すでに何人もの学者がこのことを指摘していますが、うまい解決策は提出されていないようです。医療にたずさわる者として、これはゆゆしき一大事といわねばならないでしょう。この問題につき一つの解決策を考えつきましたので意見を申し述べます。何事によらず一度しくじってもまたもとの状態にもどってやり直しがきくという場合は、それほど慎重にならなくてもいいものです。この方式がつかえれば、人類が滅亡しそうになったらタイムマシンで一万年前にもどって別の道をあゆみなおせばいいわけなのですが、タイムマシンという便利な機械は存在しないし、これからも恐らくできないでしょう。しかしタイムマシンに似たことができればよいわけで、あらかじめ遺伝子を何らかの方法で変質しないように保存しておいて、これをそのまま人間に再生することができればよいわけです。おしゃかさまは生まれたとき「天上天下唯我独尊」と言われたそうですが、そこまでいかなくても、一万年後に「わたくしはよみがえりである。わたくしはいのちである。わたくしは人々をその破滅のふちから救いにきました。」といって復活するのは思っただけでもすばらしいことではありませんか。このために必要な遺伝子の保存とその再生の技術は諸科学の急速な発展からみて、やる気になれば百年以内に実現可能になるのではないかと予想しています。このための基礎医学及び関連技術の研究はこれか
らの重要なテーマになるでしょう。そういうわけで、この技術が可能になると
いう前提のもとに私たちは医療に、研究にこころおきなく専念することができ
るわけです。また遺伝子の保存と再生の技術は、人類が宇宙に広がってゆくに
あたっても重要な技術になると思います。何千光年も彼方にある星を占領する
のに、生身の人間が何百万世代もかかって地球から到達するという考えは馬鹿
げたものです。それよりは遺伝子を宇宙放射線しゃへい用のカプセルにいれて
ロケットで打ち上げ、彼方の星についてから自動的に人間に再生し、ティーチ
ングマシンなどで教育した後、生めよ殖えよ地に満てよと、楽しく殖えた方が
ずっと合理的だと思います。以上若干SF的だととられる向きもあるかと思い
ますが、これはまじめな意見です。夢が現実になる日が必ずある事を信じつつ。
1978年9月7日 放射線科医局にて 日本医学放射線学会
物理部会 会報 No.13 意見コーナーより(1978年10月1日発行、
帝京大学医学部教員時代に書いたもの)
研究テーマ
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