本研究所は、"競争・対立から協調・対話へ"と社会の基本軸がシフトしつつある流れを捉えたうえで、多様な価値観を相互に尊重し合いながら対話を重ねることで新たなパラダイムを創造していくという一段と進化した社会への推進力を生み出すことを目標として、2007年(平成19年)7月に発足しました。
爾来、対話やコミュニケーションのプロセスを基底に据えた交渉およびミディエイション(調停)について、法学、経済学、心理学など関連諸分野を総動員した学際的研究を推進するとともに、その成果を次世代を担う大学教育の刷新に活かすよう努めてきました。具体的には、公開研究会、社会人向けの研修講座、そして、学部教育を主要な柱として、研究から教育へ、そしてまた、教育から研究へというフィードバックのスパイラルを通じて、上記目標に向けた活動を続けてきました。
近年においては、気候変動、地球温暖化によって、天然資源等をめぐる争奪的な紛争が激化しており、多数の国々が関係し、当事国間では解決困難であることから、公平・公正・中立な立場から国際的な解決を図るグローバルなレベルでのミディエイションが期待されています。このような地球規模の紛争の解決方法も探求していくことを標榜しています。研究所の研究成果の一部として、2021年3月に開催された国連犯罪防止会議に研究報告書『天然資源をめぐる紛争の激化、環境犯罪、人権侵害、国際環境裁判所の創設をめぐる議論』(英文)を提出し、公式登録されました。
これからも、基本路線を踏まえつつ、これまでの蓄積(研究成果やアクティヴラーニングのノウハウなど)を活用して、学内および地域社会における結節点(ノード)としてさまざまな活動を展開すると同時に、国内外への発信を継続し、本研究所全体の活動を一層充実させていく所存です。
桐蔭横浜大学ミディエイション交渉研究所 所長 竹村典良