V.判例の調べ方(B) 〜判例評釈・判例解説〜
 

1)判例評釈とは

 個々の判例について、その意義を解説したものを判例評釈といいます。広く「ある判例について書かれた文献」を指し、判例研究や判例解説ともいいます。判例評釈の掲載先は多岐にわたり、各種の法律雑誌、大学等の紀要類、また「新判例コンメンタール(三省堂)」など単行書(図書)として出されるものもあります。

 前年一年間の判例評釈を収録しているのは、「重要判例解説」(ジュリスト臨時増刊)や「主要民事判例解説」(判例タイムズ臨時増刊)など主要法律雑誌の臨時増刊号です。また「新判例コンメンタール」などの単行書や「判例百選シリーズ」(別冊ジュリスト)には、もっと長期間の判例評釈が収録されています。これらを活用すれば、手軽に判例評釈を概観することができるでしょう。

 判例評釈を探すためには、まずその判例を特定することが重要です。判決日・裁判所(できれば事件番号も)を調べておきましょう。また、判決の言い渡し直後にその評釈が掲載されるわけではなく、言い渡しから1〜2年経って、やっと判例評釈が雑誌に掲載されることも多いので、判決日以降、現在までの文献を根気よく調べなければなりません。最近の判例の評釈を調べるときは、「法律判例文献情報」や「法律時報」の<文献月報・判例評釈>が役にたちますが、ごく最近の法律雑誌は1冊ずつ見ていかなければなりません。

2)法律雑誌の略称

 法律雑誌も判例集と同様に、略称で示されることがあります。省略の仕方は、法律雑誌によって少々異なりますが、大要は以下の通りです。なお「法律雑誌」の毎年第1号に法律雑誌・紀要の略称一覧表が掲載されるので、詳細はそちらを参照して下さい。

主要法律雑誌の略称一覧
 

 

 

 

 

 

 

 

海事法研究会誌
金融・商事判例
刑法雑誌
公証法学   
公法研究   
司法研修所論集
自治研究   
自由と正義
海事法
金判
刑法
公証
公法
司研
自研
自正
ジュリスト 
法曹時報
租税法研究 
時の法令  
判例時報  
判例評論  
判例タイムズ
法律のひろば
ジュリ
曹時
租税
時法
判時
判評
判タ
ひろば
法学協会雑誌
法学教室  
法学セミナー
法の科学
法律時報
民事月報  
民商法雑誌 
民事訴訟雑誌
法協
法教
法セミ
法科
法時
民月
民商
民訴
 

3)判例評釈の検索

 判例評釈を検索するときは、求める判例を特定しなければなりません。判決日・裁判所はわかりますか? 判決日・裁判所がわからないときは、他の「手がかり」からの予備調査が必要です。検索の「手がかり」を整理してみましょう。

判例の特定
 ア) 判決日   平・昭         

 イ) 裁判所            裁判所

 ウ) 事件番号  平・昭   年(符号   )第     号 )

  ※ 事件番号は同一日の判決を特定するときに便利ですが、
    わからなくてもかまいません。

 ()()が埋まらないときは、以下へ

判例を特定するための「手がかり」
@ 関係する法律・条文

  ア) 関係法令           法

  イ) 条文    第     

A キーワード

  ア) キーワード          

  イ) 事件名            事件(著名な事件のとき)

B おおよその時期

  ア) 時期    平・昭    年(   月)頃

  @・Aの補うための手がかりとして必要です。

 判例評釈の検索は、判例の検索と異なり、評釈が一つ見つかればそれでよいのではありません。判決日から現在まで、他にも評釈が出ている可能性があります。判例評釈を探す場合、1つの文献を見つけたからといって安心せず、モレのないように検索を続けなければなりません。よほど昔の判例でないかぎり、最近の法律雑誌の個別調査を含め、最後までチャートに従って調査を続けたほうがよいでしょう。
 

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