1)判例評釈とは
個々の判例について、その意義を解説したものを判例評釈といいます。広く「ある判例について書かれた文献」を指し、判例研究や判例解説ともいいます。判例評釈の掲載先は多岐にわたり、各種の法律雑誌、大学等の紀要類、また「新判例コンメンタール(三省堂)」など単行書(図書)として出されるものもあります。
前年一年間の判例評釈を収録しているのは、「重要判例解説」(ジュリスト臨時増刊)や「主要民事判例解説」(判例タイムズ臨時増刊)など主要法律雑誌の臨時増刊号です。また「新判例コンメンタール」などの単行書や「判例百選シリーズ」(別冊ジュリスト)には、もっと長期間の判例評釈が収録されています。これらを活用すれば、手軽に判例評釈を概観することができるでしょう。
判例評釈を探すためには、まずその判例を特定することが重要です。判決日・裁判所(できれば事件番号も)を調べておきましょう。また、判決の言い渡し直後にその評釈が掲載されるわけではなく、言い渡しから1〜2年経って、やっと判例評釈が雑誌に掲載されることも多いので、判決日以降、現在までの文献を根気よく調べなければなりません。最近の判例の評釈を調べるときは、「法律判例文献情報」や「法律時報」の<文献月報・判例評釈>が役にたちますが、ごく最近の法律雑誌は1冊ずつ見ていかなければなりません。
2)法律雑誌の略称
法律雑誌も判例集と同様に、略称で示されることがあります。省略の仕方は、法律雑誌によって少々異なりますが、大要は以下の通りです。なお「法律雑誌」の毎年第1号に法律雑誌・紀要の略称一覧表が掲載されるので、詳細はそちらを参照して下さい。
◎ 主要法律雑誌の略称一覧
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海事法研究会誌
金融・商事判例 刑法雑誌 公証法学 公法研究 司法研修所論集 自治研究 自由と正義 |
海事法
金判 刑法 公証 公法 司研 自研 自正 |
ジュリスト
法曹時報 租税法研究 時の法令 判例時報 判例評論 判例タイムズ 法律のひろば |
ジュリ
曹時 租税 時法 判時 判評 判タ ひろば |
法学協会雑誌
法学教室 法学セミナー 法の科学 法律時報 民事月報 民商法雑誌 民事訴訟雑誌 |
法協
法教 法セミ 法科 法時 民月 民商 民訴 |
3)判例評釈の検索
判例評釈を検索するときは、求める判例を特定しなければなりません。判決日・裁判所はわかりますか? 判決日・裁判所がわからないときは、他の「手がかり」からの予備調査が必要です。検索の「手がかり」を整理してみましょう。
◎ 判例の特定
ア) 判決日 平・昭 年 月 日
イ) 裁判所 裁判所 ウ) 事件番号 平・昭 年(符号 )第 号 ) ※ 事件番号は同一日の判決を特定するときに便利ですが、
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↓(ア)、(イ)が埋まらないときは、以下へ
◎ 判例を特定するための「手がかり」
@ 関係する法律・条文
ア) 関係法令 法 イ) 条文 第 条 |
A キーワード
ア) キーワード イ) 事件名 事件(著名な事件のとき) |
B おおよその時期
ア) 時期 平・昭 年( 月)頃 @・Aの補うための手がかりとして必要です。 |
判例評釈の検索は、判例の検索と異なり、評釈が一つ見つかればそれでよいのではありません。判決日から現在まで、他にも評釈が出ている可能性があります。判例評釈を探す場合、1つの文献を見つけたからといって安心せず、モレのないように検索を続けなければなりません。よほど昔の判例でないかぎり、最近の法律雑誌の個別調査を含め、最後までチャートに従って調査を続けたほうがよいでしょう。