ECOM、「ECリスク」報告書を公開 参加者に認識を迫る  毎日インターネット情報

 

 電子商取引実証推進協議会(ECOM、会長・井川博日本情報処理開発協会会長)はこのほど、電子商取引(EC)にありがちなトラブルや事故、犯罪などによる損害とそのカバーに関する考え方、対策をまとめた「ECリスクの発見確認とその処理の現状」をまとめ、公表した。ECOMによれば、ECに関する損害の原因追及とその対応策に的を絞った報告書がまとめられたのは世界初。日本では、利用者がインターネット利用にまつわるトラブルから自己防衛するための「インターネット自己防衛マニュアル」をテレコムサービス協会が作成したばかり。また、電子ネットワーク協議会がとりまとめた「インターネット利用者へのルール&マナー集」もあるが、ECOMは「EC普及という目的のためには、市場に参加する消費者、企業の双方がリスクを正しく認識することが鍵になるだろう」(ECOM・リスク評価ワーキンググループ)と、この報告書の意義を強調している。

 ECOMがこの報告書をまとめたのは、最近、インターネットに関するトラブルの急増とともにセキュリティーに対する意識も高まり、社会の意識が変化してきているにも関わらず、ECに参加する消費者や企業が参考にすべき具体的な資料がなかったことがきっかけ。ECOMの中のリスク評価ワーキンググループが、EC発展のための保険制度や自主ルールなどの調査・検討を行なうための中間成果として作成した。

 内容は、ECの中でも「BtoC」と言われる企業と消費者間の取引を主要な検討対象とし、決済方法については現在の代表的な手段であるクレジットカード決済を念頭に置いている。

 報告書では、まず、ECで考えられるリスクとは何かを「事故」と「損害」に分けて分析。事故には、なりすましや詐欺など、犯罪に関わるもの、ネットワークのダウンなど故障によるもの、誤操作など過失によるもの、火災など自然災害によるものを分類。その結果生じる損害として、コンピューターなどに生じる物的損害、個人情報の漏洩など情報・知的財産の侵害、サーバーのダウンなどによる休業などで生じる費用・利益損害、民法上生じる賠償責任、その他を分類した。

 さらに、その対策として、それぞれの損害に対応する保険が現在あるかどうかのチェックを行なった。この情報は今回初めて網羅されたもので、それによると、損害保険会社によるコンピューター総合保険、ネットワーク中断保険、金融機関包括補償保険、電気通信事業者賠償責任保険などがそれぞれの損害を補う機能を持つといいながら、すべてを一括して補償する保険は現在のところ存在しないという。

 また、決済に関しても、フェイストゥフェイスの販売でないため、通信販売などと同じように、詐欺などに利用されやすいネットワークの盲点を意識した新たなルール作りが必要だとしている。

 

[ECOM] http://www.ecom.or.jp/

 

(磯和 春美)[Mainichi Daily Mail Internet/ 19990507]

 

 

電子取引のトラブル急増  共同通信経済ニュース速報

 

 パソコンの画面に向かい、インターネットなどを利用した通信販売で買い物をする「電子取引」でのトラブルが急増していることから、日弁連は14日に東京・霞が関の弁護士会館でシンポジウム「インターネット取引をめぐる紛争の予防と解決」を開き、松本恒雄一橋大法学部教授や消費者団体メンバーらを招いて対策を論議する。

 日弁連は4月、各地の消費生活センターなどにアンケートをし、1997−98年の相談件数や内容、その後の対処などを問い合わせた。その結果、45団体から回答があり「品物が届かない」などの相談が97年の延べ621件から98年は同1105件と、倍近くに増えていることが分かった。

 ねずみ講まがいなど悪徳商法の被害と、普通の業者とのトラブルの両方が見受けられるという。

 電子取引での支払いによく使われるクレジットカードをめぐる問題も目立ち「カード番号を業者あてにネットを通じ送信したところ、買ってもいない商品の代金がその後定期的に引き落とされる」などの相談が寄せられている。海外の業者に対する苦情も。

 シンポを担当する日弁連消費者問題対策委員会の斎藤雅弘弁護士は「クーリングオフなど、これまでの解決策が有効かどうかといった議論はまだ不十分」と話している。

[1999-05-07-17:21]

 

 

通販協会 オンラインマークを決定8月から実験−信頼性保証  毎日インターネット情報

 

 日本通信販売協会(JADMA、会長・石川博康フジサンケイリビングサービス社長)は7日、インターネット通販の事業者に、適正な取引をしていることを示す「オンラインマーク」を付与する実証実験を8月から始めることを決め、マークのデザインを公表した。電子商取引(EC)は急激に普及しているが、消費者の意識調査などから自己データの漏洩や決済、商品自体への不安が従来の通信販売より強く生じていることがわかっており、何らかの方法で信頼性を保証する必要性が指摘されていた。このため、通信販売業界が自主的に事業者の審査を行ない、消費者への目安となるマークを付与することにしたもの。オンラインマーク制度については、電子商取引実証推進協議会(ECOM、会長・井川博日本情報処理開発協会会長)も制度運営について検討を進めており、その報告書が今月中に一般公開される。消費者保護、事業者の信用度保証の2つの観点から普及が期待されている。実験終了後はそのままマーク付与制度を実用化する方針。実験と並行して、マーク不正使用防止用の巡回ロボットソフト開発、事業者の取引内容チェックのための認定情報不正検出ソフトなどの開発が課題となる。

 JADMAは通信販売事業者531社(賛助会員含む)からなる社団法人で、訪問販売法に基づく業界の発展と消費者保護が活動目的。インターネット上の通信販売が急増していることを踏まえて今年3月、利用者アンケートをまとめたほか、通信販売事業者におけるECガイドラインを公表するなど、ECのすそ野拡大に積極的に取り組んでいる。

 しかし、昨年5月に通産省が実施した調査では、オンラインショッピングのサイトでも訪問販売法で定められた表示項目が明らかでない業者が多くみられた。また、消費者側の不安は特に個人情報漏洩や、クレジットカードなどを使った代金決済で身に覚えのない金額が請求されるのではないか、などの懸念に集中していた。このため、ECOMの報告書でも、米国ではすでに業界などがオンラインで業者にマークを付与している例をあげ、「何らかの基準を設けて、消費者に安全な取引を行えることをアピールする必要がある」と制度の実施を提言している。

 JAMDAによると、実証実験では当面、原則として日本に所在する法人を対象事業者とし、協会会員、協会が認めるオンラインショッピングモールに参加している企業などを認可していく予定。審査項目は、事業者の身元確認のほか、広告表示、代金決済方法、返品特約制度、苦情相談体制など多岐にわたり、適正と認められた事業者にオンラインマークの掲示を認める。事業者はこのマークをサイトに表示、利用者はマークをクリックすると、JAMDAからマークを正式に付与されていることを確認できる仕組み。

 JAMDAは今後、オンラインマークの普及を図るとともに、ECOMが指摘しているオンラインマークの不正使用対策や、監視業務、消費者との紛争解決の相談業務などの体制整備に入る。

 

[JAMDA]  http://www.jamda.org/

[ECOM]  http://www.ecom.or.jp/

 

(磯和 春美) [Mainichi Daily Mail Internet/ 19990510]  [1999-05-10-18:03]

 

 

◎ネット通販の千社に警告  共同通信経済ニュース速報

 

 通産省は19日、インターネットを利用した通信販売業者のうち、ホームページ上に代表責任者名や商品の返品条件を記載しないなど、訪問販売法で定めた表示義務を守っていない業者約1000社に対し警告メールを送った。

 国内のインターネット通販業者1541社を対象に調査(うち20社は調査後閉店)。責任者名、返品条件のほか、販売価格や送料など販売条件に関する9項目の表示をすべて満たしていた業者が485社だったのに対し、67%に当たる1036社の表示に1項目以上の欠落があった。

 昨年5月の480社を対象とした初の調査でも、表示に欠落があった業者が66%を占めており、同省消費経済課は「引き続き点検し、改善しない業者には個別に報告を求める」としている。

 業種別では、健康食品などの「食品関連」、携帯電話などの「ビジネス関連」で表示の欠落が多く見られた。

 国民生活センターによると、インターネット通販をめぐっては「代金を支払ったのに商品が届かず、その後ネット上のデータが消去されている」などの苦情が寄せられており、1995年度に5件だった苦情件数が、98年度は452件に急増しているという。

[1999-05-19-17:18]

 

 

低価格TV用ネット端末発売へ 住友不動産フィットネス 毎日インターネット情報

 ウェブコンテンツ制作も手がけるリゾート施設経営の住友不動産フィットネス(東京都千代田区)は24日、家庭用のテレビでインターネットを楽しむための専用端末「テレイカ(Teleika)」を7月末に出荷開始することを毎日デイリーメール・インターネットに明らかにした。親会社の住友不動産や、住友グループが建設するインターネット対応型マンションやホテル、企業の社員寮などをターゲットに、一括導入を働きかけていく。年間約30万台が出荷目標。価格はオープンだが、競合製品より約1万円低価格の4万円程度となる見込み。

 「テレイカ」の名称は、テレビでインターネットを簡単に楽しむ意味を込めた造語。ダイアルアップ接続型とLAN接続型の2機種がある。本体とユーザーが契約するインターネット接続プロバイダーへの接続環境などを記憶したICカード、リモコンの3点のセット。長文の入力用に、ワイヤレスキーボードもオプションで用意する。ただし、通常のウェブサイトの閲覧は出来るが、プラグインが必要な動画などの閲覧はできない。また、ハードディスクは搭載していないため、電子メールはウェブメールとして利用する仕組みとなっている。

 ICカードを本体に差し込んでユーザー認証を行うシステムで、複雑な設定をユーザー側が行う必要はなく、住友フィットネスは「容易にインターネットを楽しむことができる」とアピールしている。別売の場合、ICカードが11000円程度、ワイヤレスキーボードは8000-1万円程度となる見込み。法人向けを主力に販売していくが、個人向けへの対応として、家庭の主婦や女性会員が多い通信販売大手、「ニッセン」(会員約1200万人)と提携して提供していく。

 さらに、住友フィットネスは、テレイカでインターネットに最初にアクセスした時に接続するサイト「テレイカ」を今月31日に開設する。住友不動産▽DDI▽旅行代理店のHIS▽ニッセン−−などと提携し、一般家庭の生活に役立つ情報を提供するなど、付加サービスを設けて差別化を図る。

 家庭用テレビでウェブサイトを閲覧したり電子メールを利用する専用端末は現在、日本電算機のiBOXや、ウェブティービーネットワークスの運営するウェブTV、日本オラクルが普及を進めるNCTVなどがある。しかし、バンダイが19963月に発売した「ピピン@(アットマーク)」(64800円)は、約3万台で製造を中止、昨年2月に撤退するなど、各社とも普及に苦戦している。

 しかし、各社とも最近増加しているインターネットに対応したマンションに着目しており、一括導入に販売の活路を見出している。日本オラクルは今年4月、三井不動産が東京都豊島区に建設する高層マンション(224戸)への標準設置の商談をまとめたほか、ウェブTVも昨年9月に東急不動産のマンション(横浜市、488戸)での一括導入に成功した。住友フィットネスは「今年末にかけてインターネットに対応したマンションは次々に建設されていく」と予測しており、住友グループの営業網を生かして競合他社に対抗していく。

 

[住友不動産フィットネス]  http://www.cgra.co.jp/

[テレイカ(今月31日から)] http://www.teleika.ne.jp/

 

(臺 宏士) [Mainichi Daily Mail Internet/ 19990525]

 

 

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