1998/10/05 イー・トレードが大沢証券買収 ネット証券を来年1

 ソフトバンクは、インターネットを使った証券取引を行う同社が58%を出資する証券子会社イー・トレードが、東京を中心に展開する地場証券の大沢証券の発行済み株式の全てを取得することで合意した、と発表した。イー・トレードは大沢証券を100%子会社として当面、都内・埼玉県内の6店舗、65人の従業員の雇用を維持する。早ければ来年1月に予定しているインターネットを使った証券売買業務を開始する際に名称を変更し、ソフトバンクIR室長でイー・トレードCOOの井上太良氏が社長に就任する予定。名称は未定だが、「イー・トレード証券」などになりそうだ。

 イー・トレードの社長でもある北尾氏は、買収した大沢証券で上場株、店頭株、外国株の株式のほか、公社債、投資信託など通常の証券会社が扱う商品も扱っていくとともに、未公開株を専門に扱う別会社を新たに設立し、イー・トレード傘下に置くことも明らかにした。また先ごろ発表した韓国でのイー・トレード設立に続き、アジア地域でも同様の会社を設立、これらのアジア地域でのインターネット証券会社を統括するイー・トレードの子会社も設立する方針。すでに、香港、中国本土で現地証券会社と合弁企業設立に向け交渉に入っている。

 大沢証券は1944年設立され、資本金は5100万円、従業員数65人。983月期決算での売上高は99000万円、当期損失は27600万円で7期連続で赤字を計上している。同証券の大沢静夫社長は「証券自由化の中で大きな金融機関系列でない中小証券は厳しい経営の岐路に立たされている。従来の営業を続けていくよりもインターネット証券業務に託した方が良いという結論に達した」などと述べた。大沢証券は預かり資産額が450億円に達し、顧客も抱えていることから、従来の窓口業務や営業マンなど従業員の雇用も当面維持する方針。

 イー・トレードは今年6月設立。証券会社の営業に不可欠な東京証券取引所の会員権取得について、北尾氏は独自取得以外に既存証券会社の買収を当初から考えていた。水面下では10数社と交渉していたが、「インターネットを利用する業務の性格上、従業員が多すぎても困る」(関係者)ことから、従業員数や買収金額で折り合いがつかず当初予定した9月中の買収の予定がややずれ込み、ようやく大沢証券の買収にこぎつけた。

 イー・トレードは今後、投資情報の提供などに力を入れ、低価格の売買手数料を武器に一般投資家を対象にしたリテールに力を入れていく考えだが、現段階では手数料の水準などは未定。北尾氏は「既存の秩序を尊重し、その中で動きたい」としてスタート時から既存の証券会社の手数料に比べ、大幅に安くはしない方針。むしろインターネット上のヤフーなどのポータルサイトとあわせて、ニュース提供、投資向け企業情報をからめた総合情報・金融会社としての展開をはかりたいとの希望を示している。

ソフトバンク: http://www.softbank.co.jp/

Eトレード: http://www.etrade.com/

(松沢 敬介 Staff Writer[Mainichi Daily Mail Internet/ 981005]

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1998/10/06 三沢屋、今川証券が合併へ 規模拡大で生き残り

 

 中堅証券の今川証券三沢屋証券は6日、来年4月に合併すると発表した。存続会社は三沢屋証券で、今川の株式1に対し、三沢屋の3分の1を割り当てる。

 日本版ビッグバン(金融制度改革)で、来年末には収益の柱である株式売買委託手数料が完全自由化され、経営環境が厳しくなることが予想される。両社は営業拠点が主に首都圏と関西地方に分かれ重ならない点を重視、合併で規模を拡大し生き残りを図る。

 新会社名は「今川・三沢屋証券」(仮称)で、資本金は37億9400万円。会長に木村氏、社長に椙村氏が就任する。

 両社は、インターネットを使った株式売買に力を入れており、新会社では手数料の安い同取引を収益の柱にする方針。両社長は、ソニーなど異業種が同取引で証券業務に参入することから、合併に踏み切ったとしている。

[1998-10-06-17:46]  共同通信経済ニュース速報

 

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