1998/11/09 電子メールなどにシェア食われ豪州郵便局、生き残りに必死

 電子メールやインターネットの人気上昇と共に、旧来の手紙利用者が減少し、郵便当局の歳入減を招いているとオーストラリア地元紙が報じている。この傾向は高度情報化社会が進む今後、一層強まりそうで、同当局は歳入増加を生むビジネス分野の開拓、技術革新の導入に本腰を入れ始めている。

 手紙利用の衰退ぶりは統計で明らかだ。オーストラリアン紙が伝える生産性委員会による国営企業最新動向によると、昨年1年間に送付された手紙、書類など約208億通のうち、郵便局を経由したのは19%分。38億通のうち半分を占めた1960年当時と比べれば、通信媒体としての重みを失っていることが良く分かる。手紙の扱い量は同年から年間平均2%の割合で増加、昨年は42億通に膨れた情勢の中で、利用者が電子メールなどの新技術に頼り始めている現実も示している。

 郵便当局の歳入減は、世界で4番目に安いという45セント(1豪州ドルは約75円)切手の価格を1992年以来、維持していることにも原因がある。このほか、コンピューターの「西暦2000年問題」への対応に伴う技術投資も足を引っ張り、郵便当局の98会計年度における純益は前年度比3.5%の約2億2千万ドルに後退した。

 経営環境が厳しさを増す中で、同当局がビジネス拡大に大きな期待を寄せるのが、企業から家庭に配られるダイレクト・メールだ。この分野での取扱量は近年激増し、90年からの6年間で40%伸びたという。また、郵便為替や現金自動引き出しなどの金融分野の新技術にも積極的な投資を行い、21世紀への生き残りをかけている。金融部門では昨年、前年比15%増の約2600万ドルを記録する業績を挙げた。

[Mainichi Daily Mail Internet/ 98年11月09日] 毎日インターネット情報

 

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