1998/10/07 128ビット暗号の輸出認可 米マイクロソフトの子会社

 米マイクロソフトは5日(米国時間)、子会社のウェブTVネットワークスが、一般商用向けにキー・リカバリーを含まない128ビット長の暗号輸出を、米政府から初めて認可されたと発表した。認可を受けたのは、日本及び英国における128ビット長暗号の一般利用で、テレビからインターネットや電子メールを利用できるウェブTVネットワーク・サービスに128ビット長の暗号を組み込み、両国でサービスを提供する。マイクロソフトは、128ビット長の強力な暗号によって、日本及び英国のウェブTV契約者が、第三者に盗み見られる心配なしに、ウェブTVネットワークを通じた通信を利用できるようになるとしている。

 これまで、米国の法律では、解読される可能性がある56ビット長の暗号かぎを用いた製品の輸出を許可していたが、現状では解読不可能な128ビット長の暗号かぎの輸出は、金融機関などの限られたユーザーやアプリケーションのみに認可されてきた。米政府は最近、128ビット暗号の輸出に関して、対象となるユーザーやアプリケーションを拡大する方針を発表。しかし、これまで適用された例がなく、電子メールのようなシンプルなアプリケーションでさえ、強力な暗号が利用できなかったという。

 ウェブTVネットワークスは初めて、日本及び英国において、あらゆるユーザーやアプリケーションに対する128ビット暗号の輸出ライセンスを認可された。ウェブTVベースのインターネット端末は、米国企業から提供される最もセキュリティが高い通信機器だとしている。

[microsoft発表]

http://www.microsoft.com/presspass/press/1998/Oct98/EncryptionPR.htm

Hiroyuki Et-OH Tokyo, Japan[Mainichi Daily Mail Internet/ 981007]

 毎日インターネット情報

 

1998/09/29 SSL暗号技術を供与 ザウルス・カラーポケットに

 暗号技術の日本RSAはシャープに、インターネット上の送受信データの盗み見や改ざん、なりすましを防止するための通信規約、SSL(セキュア・ソケット・レイヤー)の暗号技術をライセンス供与し、今月4日に発売開始した携帯情報端末「ザウルス・カラー・ポケット」の専用ブラウザーに実装された、と発表した。ライセンス供与した暗号技術は、復号化と暗号化に一対の公開鍵(かぎ)と秘密鍵を使う公開鍵暗号方式のRSAと、共通鍵暗号方式のRC4など米RSAが開発した暗号技術。RSARC4はインターネット経由で送受信する情報の安全性を確保するSSLプロトコル(手順)を実現するセキュリティー技術の中核となる。

 シャープはザウルス・カラー・ポケットの機能では特に、電子メールなどによってオフィスのパソコンとデータ交換を行うモバイル機能を重視しているが、ユーザーがデータを送信したり情報を受ける際に第三者の悪意からデータを守り、盗用や改ざんを防衛する技術として採用を決めた。

 RSARC4は安全性や信頼性が評価されているといい、これらを組み込んだブラウザーやSSLに対応アプリケーションはインターネットでのサーバーやクライアントの認証、通信情報の守秘性が守られるとされる。ブラウザーとサーバーとの間のやり取りをRC4の共通鍵方式で暗号化して改ざん、盗み見、なりすましの不正行為から通信内容を守り、RSA公開鍵方式では、セキュリティー機能が付いたアプリケーションで用いるアルゴリズムとしてデータの暗号化機能やデジタル署名機能に利用する。

日本RSA http://www.rsa-japan.co.jp/

シャープ http://www.sharp.co.jp/

(山川 健 Staff Writer[Mainichi Daily Mail Internet/ 980929]

 

暗号輸出規制に違憲判決 米控訴裁判所が下級審支持  毎日インターネット情報

 

 米控訴裁判所は、米政府の暗号輸出規制を巡る訴訟で、下級審判決を支持、違憲とする判決を出した。米国の市民団体「電子フロンティア財団(EFF)」が7日(米国時間)明らかにした。この訴訟は、数学者のダニエル・ベルンスタイン氏が、開発した暗号アルゴリズムをインターネットに掲載するため、米商務省など複数の政府機関を相手取り、起こしたもの。EFFはこの訴訟を、ディジタル世界の自由な表現や電子商取引、プライバシーにとって重要な問題と位置づけ、1995年以来、ベルンスタイン氏を支援している。訴えに対して控訴裁判所は、「ソフトウェアや関連技術の輸出規制は、政府が言論の自由に干渉することを禁じた憲法修正第1条に違反する」と判断、違憲判決をくだした。

 

 コンピューター化した情報を暗号化、複合化する暗号技術は、プライバシーを保護したり、コンピューター・ネットワークを安全に保つのに不可欠な技術。EFFの発表によると、控訴裁判所はこの観点から「安全な暗号技術は、我々が失ったプライバシーの一部を回復する機会を提供する」とし、「このような暗号を規制しようとする政府の行ないは、憲法修正第1条に抵触し、暗号科学者の権利を侵害するだけでなく、暗号の恩恵を受ける可能性のある人々の本質的な権利を侵害する」と認定した。

 

 控訴裁判所判事は、この訴訟の重要性を踏まえて、高位裁判所において審理することが望ましいと指摘したが、EFFは、政府が上訴を延期するよう請求するものと見ている。もしこれが承諾されれば、今回の控訴裁判所の判決にかかわらず、他の州で争われている訴訟を含めて、最終的な司法判断まで暗号の輸出規制が続くことになる。

 

[EFFの発表] http://www.eff.org/bernstein/19990507_eff_pressrel.html

 

Hiroyuki Et-OH Tokyo, Japan[Mainichi Daily Mail Internet/ 19990511]

 

 

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